
お子様の「お口ぽかん」が気になる保護者さまへ
寝ているときにいびきをかいて口が開いている、日中もなんとなく口が半開き。7歳前後でこうした様子が見られると、将来の歯並びが気になりますよね。口呼吸は歯並びや顎の成長、毎日の体調にまで関わることがあり、生え変わりの時期だからこそ知っておきたいテーマです。この記事では、口呼吸と歯並びの関係、考えられる原因、家庭でできるトレーニング、そして和歌山で歯科相談を検討する際の目安を整理しました。
この記事の要点まとめ
- 口呼吸は唇・舌の力バランスを通じて歯並びや顎の成長に関わる可能性がある
- 原因は鼻づまりや筋力低下など様々で、あいうべ体操など家庭での取り組みも紹介
- いびきや口の開きが気になる場合は、歯科・耳鼻科への相談が目安となる
- 口呼吸がお子様の歯並びや骨格に及ぼす医学的影響
- なぜ口呼吸になるの?考えられる主な原因と「よくある誤解」
- 今日から家庭で始められる口呼吸改善トレーニングと生活習慣
- 専門機関に相談すべき判断基準と歯科医院で行う小児矯正・MFT
- よくある質問
- 参考文献
- 監修
口呼吸がお子様の歯並びや骨格に及ぼす医学的影響
歯並びを決めているのは、歯の大きさや本数だけではありません。唇・舌・頬といったお口まわりの筋肉が、成長期の歯や顎に毎日少しずつ力をかけ続けています。口呼吸が続くとこのバランスが崩れやすく、歯列や顎の成長方向に影響が出る可能性が指摘されています3。
上顎前突(出っ歯)や開咬を引き起こすお口まわりの筋力バランス
鼻で呼吸しているとき、唇は自然に閉じ、舌先は上顎の裏側に軽く触れた位置に収まるとされます。ところが口呼吸では口が開いたままになり、唇が前歯を内側へ押さえる力が弱まりやすくなります。さらに舌の位置が下がる「低位舌」の状態になると、下の前歯側へ舌が押し付けられやすくなります。
この状態が長く続くと、上の前歯が前方へ傾く上顎前突(出っ歯)の傾向や、前歯が上下で噛み合わない開咬(かいこう)の傾向につながることがあると考えられています。舌で前歯を押す癖が重なれば、その傾向はより出やすいとも言われます。歯並びは「押す力」と「押さえる力」の均衡の上に成り立っている、というわけです。
顔立ちの変化「アデノイド顔貌」と顎の発育不全の関係
上顎は、舌が上に収まり鼻で呼吸することで、横方向にも前方にも広がりやすくなると考えられています。逆に口が開いた姿勢が習慣になると、上顎の幅が広がりにくく、歯が並ぶスペースが不足しやすくなる場合があります。
また、口を開けて呼吸するために下顎が下がり、顎を引いた姿勢や首を前に出す姿勢を取りやすくなります。こうした状態が長期に続くと、面長な印象や口元が前に出た印象になる「アデノイド顔貌」と呼ばれる特徴が現れることがあると報告されています。とはいえ顔立ちは遺伝的な要素も大きく、口呼吸だけで決まるものではありません。気になる点があれば、成長段階を踏まえて歯科医院で状態を確認することが判断の第一歩になります。
歯並びだけじゃない?むし歯リスク増加や睡眠の質の低下などの健康被害
口を開けたままだと唾液が蒸発し、お口の中が乾燥した状態(ドライマウス)に傾きやすくなります。唾液には汚れを流し、酸を中和し、歯の再石灰化を助ける働きがあるため、乾燥するとむし歯のリスクや口臭が気になりやすくなると言われます2。
もうひとつ、鼻は空気を加湿・加温し、ほこりや細菌をある程度ろ過する役割も担っています。口呼吸ではこの働きを通らずに空気が入るぶん、喉が刺激を受けやすい面があります。夜間のいびきや口呼吸で睡眠が浅くなると、日中の集中力や機嫌に影響が出る可能性も指摘されており、生活習慣全体を見直す視点が求められます1。
なぜ口呼吸になるの?考えられる主な原因と「よくある誤解」
口呼吸は「だらしない癖」ではありません。多くは鼻の通り道や筋肉の使い方といった背景があります。原因を切り分けると、家庭で取り組める部分と、医療機関に相談したい部分が見えてきます。
鼻づまりやアレルギー性鼻炎・アデノイド肥大などの耳鼻科的要因
よく見られる背景は、鼻で息を吸いにくい状態が続いていることです。アレルギー性鼻炎、慢性的な鼻づまり、扁桃やアデノイドの肥大があると、体は自然と口から空気を取り込もうとします。鼻の通りに課題がある場合、お口のトレーニングだけでは改善が進みにくいことがある点に注意が必要です。
季節によって鼻の症状が変わる、いつも鼻声である、口を閉じるとすぐ苦しそうにする——こうした様子が見られるなら、耳鼻いんこう科での確認を並行して検討しましょう。歯科と耳鼻いんこう科の双方から状態を把握することで、対応の方向性が整理しやすくなります1。
姿勢の崩れやお口の筋肉(唇・舌)の衰えという機能的要因
鼻の通りに大きな課題がなくても、口が開いたままになるお子様もいます。よくあるのは、唇や舌、頬の筋肉の使い方がまだ育ちきっていないケースです。やわらかい食べ物中心の食生活が続けば噛む回数は減り、口を閉じ続ける筋力も育ちにくくなると考えられます。
さらに、猫背や前かがみの姿勢では下顎が下がり、口が開きやすくなります。タブレットやゲームに夢中になっているときの姿勢を思い出してみてください。姿勢と呼吸、お口の機能は連動しているため、生活の中での姿勢を整えることが、鼻呼吸を後押しする土台になります。
【よくある誤解】「単なる癖だから成長とともに自然に治る」は本当?
「大きくなれば自然に口を閉じるようになる」と聞いたことがある方も多いでしょう。実際、鼻の症状が落ち着き、様子が変わっていくお子様もいます。ただ、必ずそうなるとは言い切れません。顎の骨は成長期に大きく変化するため、口が開いた状態が続く期間が長いほど、歯列や骨格の成長方向に影響が残る可能性があるとされています3。
一方で、7歳前後は乳歯から永久歯への生え変わりが始まり、顎の成長を活かしたアプローチを検討しやすい時期でもあります。すぐに装置を使う治療を始めるかどうかは別として、現状を把握しておくこと自体に意味があります。和歌山にお住まいで判断に迷う場合も、まずは相談から始める選択が現実的です。
今日から家庭で始められる口呼吸改善トレーニングと生活習慣

ここからは、道具をほとんど使わず家庭でできる方法を紹介します。大切なのは強度より継続。1日数分でも毎日の生活リズムに組み込むことが、取り組みを続けるコツです。 ただし鼻づまりが強いときは無理をせず、体調に合わせて調整してください。
口周りの筋力を整える「あいうべ体操」の具体的なやり方
「あいうべ体操」は、口の周りと舌の筋肉を意識的に動かす体操として広く紹介されています。手順はいたってシンプルです。
1. 「あー」 と口を大きく開ける
2. 「いー」 と口を横に大きく引く
3. 「うー」 と唇を強く前に突き出す
4. 「べー」 と舌を下方向へ思い切り伸ばす
1セット4動作を、1回あたり5〜10セット程度、1日2〜3回が目安とされます。声を出さず口の形だけ作ってもかまいません。顎に痛みがあるときは動きを小さくするか、いったん中止してください。歯みがきの後や入浴時など、時間を決めておくと習慣化しやすくなります。親子で鏡の前に並んで行うと、お子様も取り組みやすいようです。
遊び感覚で楽しく続けられる風船・吹き戻しを使ったアプローチ
7歳前後のお子様は、「訓練」と言われると飽きてしまいがち。そこで役立つのが、遊びの延長で口元を使える道具です。風船をふくらませる遊びなら、唇を閉じて息を送り出す動作を自然に繰り返せます。お祭りでおなじみの吹き戻し(ピロピロ笛)も、唇の力と息のコントロールを使う点で相性が良い遊びです。
シャボン玉や、ストローで紙を吹いて動かす遊びも同じ方向性で活用できます。回数を競うより、笑いながら続けられることを大切にしてください。なお、小さな部品の誤飲や過度な息止めを避けるため、必ず保護者さまが近くで見守るようにしましょう。
正しい姿勢の維持と日常のお食事で「しっかり噛む」工夫
食事中、足が床や踏み台にしっかり着いているか確認してみてください。足が浮いていると体が安定せず、姿勢が崩れて口が開きやすくなります。椅子の高さを調整し、背中を伸ばして座れる環境を整えるだけでも、姿勢の変化につながることがあります。
メニューでは、根菜やきのこ、噛みやすい範囲の肉類、りんごなど、適度に噛みごたえのある食材を少しずつ取り入れるとよいでしょう。「ひと口を小さくして、口を閉じて噛む」という声かけも役立ちます。よく噛むことは唾液の分泌を促し、お口の健康を支える習慣としても知られています2。テレビを消して食事に集中する時間をつくるのも、地味ながら続けやすい工夫です。
専門機関に相談すべき判断基準と歯科医院で行う小児矯正・MFT
家庭でのケアを続けながら、どのタイミングで専門機関に相談すればよいのか。ここでは目安と、歯科医院で行うアプローチを整理します。
【自宅でチェック】歯科受診を検討すべき症状と見極めライン
次の項目に複数当てはまるなら、一度状態を確認してもらう価値があります。
- 就寝中にいびきをかく、または息が止まっているように見える瞬間がある
- 日中もほとんど口が開いていて、指摘しないと閉じない
- 上の前歯が前方に傾いている、前歯が上下で噛み合っていないように見える
- 食事中に口を開けて噛む音が出る、飲み込みに時間がかかる
- 朝起きたときに口の中が乾いている、口臭が気になる
- 唇が乾燥してひび割れやすい
とりわけいびきや睡眠中の呼吸の様子が気になる場合は、歯科と耳鼻いんこう科の両面から確認することをおすすめします1。生え変わりの状況によって対応の考え方は変わります。自己判断で様子見を長く続けるより、気づいた点を記録して相談したほうが整理しやすいでしょう。
歯科医院で行う口腔筋機能療法(MFT)とマウスピース等の小児矯正
歯科医院では、口腔筋機能療法(MFT)と呼ばれる訓練を通じて、舌の位置、唇の閉じ方、飲み込み方の練習を段階的に進めていきます。家庭での体操と異なるのは、現在の筋機能の状態に合わせて内容を組み立て、経過を見ながら調整していく点です。
あわせて、取り外しができるマウスピース型の装置(プレオルソ等)で、成長を活かしながら歯列や口元の環境を整えていくアプローチもあります。装置を使うかどうか、いつ始めるかは、生え変わりの段階や骨格の成長度合いによって判断が分かれるところです。経過の現れ方には個人差があり、装置の使用時間や訓練の継続度も関わってきます3。
和歌山・有田エリアで通院と習い事を両立させる歯科医院選びのステップ
仕事や習い事と通院を両立させるうえで鍵になるのは、予約の取りやすさと説明のわかりやすさです。当院では、いきなり治療を始めることはなく、まず歯科医師が費用・期間・治療方法などの疑問やご不安をお伺いし、ご納得いただけるまで丁寧にご説明する方針をとっています。 自作の説明動画といった視覚的なツールも使い、専門的な内容をお子様と保護者さまが一緒に理解できるよう工夫しています。
設備面では、歯科用CTで顎や気道周辺を含む状態を立体的に把握し、口腔内スキャナー(iTero エレメント 5D プラス)で歯型を採取して現状を共有します。当院には歯科医師3名と多数の歯科衛生士が在籍し、土曜午後には矯正治療専用の時間を設けているため、平日が慌ただしいご家庭でも通院計画を立てやすい体制です。キッズスペースがあり、保育士資格を持つスタッフも在籍しています。費用については、当院はトータルフィー制度を採用しておらず、処置ごとの費用の考え方を事前にご説明します。和歌山県有田郡湯浅町から、和歌山近辺・田辺・白浜の方までご相談いただいています。なお、装置を使った治療を行う場合も、終了後の保定とメンテナンスを続けることが状態の維持に関わるため、長期的な視点でのご説明を大切にしています。
よくある質問
Q1. 子どもが口呼吸だと歯並びは乱れますか?
A. 口呼吸そのものが直接歯を動かすというより、唇の閉じる力が弱まり舌の位置が下がることで、歯や顎にかかる力のバランスが変わる点が関わると考えられています。上顎前突や開咬の傾向につながる場合がありますが、遺伝や生え変わりの状況など複数の要因が絡むため、状態は一人ひとり異なります。
Q2. 口呼吸は歯列矯正で改善しますか?
A. 歯列を整えることで口を閉じやすくなるケースはあります。ただし鼻づまりなど呼吸の通り道に原因がある場合、矯正だけでは対応が難しいこともあります。歯科でのMFTや装置による対応と、耳鼻いんこう科での確認を組み合わせて考えるのが一般的です。
Q3. 歯列矯正を慎重に検討した方がよいのはどんな場合ですか?
A. むし歯や歯ぐきの状態が整っていない場合、装置の管理や訓練を続けることが難しい状況にある場合などは、事前の準備や時期の調整が必要になります。お子様の場合は生え変わりの段階も重要な判断材料です。まずは検査結果をもとに、開始時期を含めてご相談ください。
Q4. 家庭のトレーニングはどのくらい続ければよいですか?
A. 期間を一律に示すのは難しく、お口の状態や年齢によって変わります。数週間で口が閉じやすくなったと感じる場合もありますが、習慣として定着するには継続が欠かせません。定期的に歯科医院で経過を確認しながら、内容を調整していく方法が現実的です。
Q5. 7歳ですが、相談するのは早すぎませんか?
A. 早すぎるということはありません。この時期は前歯の生え変わりが進み、顎の成長も続いているため、状態を把握しやすいタイミングとされています。相談の結果、しばらく経過観察という判断になることもあります。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
3. 日本小児歯科学会 公式サイト https://www.jspd.gr.jp/
2001年 大阪歯科大学臨床研修修了
2002年 大阪歯科大学歯科矯正学講座入局
南カリフォルニア大学コース修了
Invisalign ライセンス取得
Dr.koyata 舌側矯正コース修了
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